黒アゲハ

暑い夏は日が暮れて涼しくなってから小烏に登ることが多い。

 

たそがれの小烏、ひぐらしが盛大に鳴き始める。

 

夕日が沈みかけ、社殿から後光が差すように境内を照らす。

 

それらも風情があり、登りやすい時間帯である。

 

小烏は季節や天候、時間帯によって違う顔を見せてくれる。

 

何度登っても、何時間いても飽きない。

 

ところで、この前から登ると必ず、一羽の黒アゲハが現れる。

 

動画を撮ってYouTubeに上げたのだが、それにもはっきり映り込んでいる。

 

参拝を終えたら、どこからともなくやってきて目の前を飛んで行った。

 

今日も同じだろうか、その黒アゲハが現れ、ずっと俺の周りを何か伝えたいことでもありそうに舞っていた。

 

神様の化身か御使だろうか。

 

じいちゃんが亡くなった時も、家の庭に黒アゲハが来たことを思い出す。

 

俺の業がどこへ連れていくのかわからないけれど、死んだら夢で見た天の小烏に行くことを信じている。

 

だから死ぬことが全く怖くない。

 

なむこがらす。